COLUMN

STORY|古さと新しさが交差する織物の世界

山々に囲まれ自然豊かな兵庫県の西脇は、加古川と杉原川の豊かな水源に恵まれ、織物の一大産地として栄えてきました。
サルビアの織りのストール【グランマストール / コットンウール / Garden】は、この地域で昭和のはじめから四代に渡って、織物を作り続ける遠孫織布に制作していただきました。
今回は、そんな西脇と遠孫織布のものづくりのお話です。

大阪から高速バスに1時間半ほどゆられると到着するのが、兵庫県の西脇というエリア。
ここは「播州織」と呼ばれる、チェックやストライプの生地の産地。
薄手のベーシックな織物が日々つくられています。

街を歩くと、ところどころにのこぎりの形をした屋根の工場が見られます。
この「のこぎり屋根」、イギリスから日本に受け継がれた繊維工場ならではの建築様式。
北川の屋根に付けられた天窓から直射ではないやわらかい光が差し込み、織った布の色や模様をチェックするのにちょうどいい明るさなのだそうです。

日本の繊維業界はどこも中国やアジアの量産品に押され、厳しい状況が続いています。
そんな中、播州は染め工場や糸の糊付けなど下準備をする工場が残っており、遠い地域に外注しなくても産地内で準備から仕上げまで「分業制」になっていることが強みなのだそう。

「ひいおばあさんに『あんたは継ぐんやで』と言われて育ったので、織る仕事をするのは自然なことでした」。
西脇にある遠孫織布の4代目、遠藤由貴さんは、高校卒業後いったん社会勉強のために別の業界に就職した後、20歳の時に実家の工場を継ぐために帰ってきました。
まだ景気のよかった90年代初頭、与えられた仕事をこなしながら覚えていく毎日だったそう。
困ったのは、バブル崩壊の後。年を追うごとに仕事が減り、「なんとか新しいことを始めなくては」とリスクを背負いながらも設備投資をして、最新の電子ジャカード機を導入しました。

電子ジャカード機が使えるようになると、「紋紙」と呼ばれる「型をつくる工程」を省くことができます。今まで紋紙づくりに数十万円かけていたところが自分の手元でできるのです。

アイデアが生まれては試作をし、失敗したらすぐに直してまた試作、の繰り返し。機械の隅々まで把握している遠藤さんだからこそできる、実験的な織物が次々に生まれていきました。
はじめの数年はなかなかうまく伝わらなかったものの、自分で東京の展示会に出品するようになってから、ぐんと成果が出てきました。

「ある程度こうしようああしようと打ち合わせをしてピンときたら、すぐに持ち帰って自分の工場で織っちゃうんです。生地というのは、実物をさわってもらわないとわからないですからね」。
サルビアのストールも、打ち合わせから10日後くらいには1回目のサンプルが仕上がっていました。

「僕はあんまりファッション業界のことは知らないんですが、自分たちで夜な夜な企画して提案したものが、アパレルブランドの商品になっていくのはやっぱりすごくうれしいですよ。さらに『こんなの好きかもな』と思って提案しています」。

想像して、つくって、工夫して、提案して。
いきいきとした毎日を過ごす、遠藤さんでした。