COLUMN

STORY | ”BLUE FOREST”

< 季刊サルビア vol.32( 2014年3月発行)より抜粋 >

ちょうど一年前のこと
桜まつりを見にいこう、と
青森をふらりと旅した
東京にくらべたらまだ空気は冷たくて
桜も六分咲き
「東京からわざわざ来てもらったのに、
満開じゃなくてなくてごめんね」と
喫茶店で、りんごのお店先で、
会うたびに声をかけられた

山を歩いた
見慣れない葉っぱのかたちもたくさん
白樺の木もまっすぐに伸びて
こんなときは目がカメラみたいになる
さわさわと風が吹き
きらきらと陽がさしたそのあと
ぽち、ぽちと
新緑が芽吹く瞬間を見たような気がした
青い森だ

青い森で見た記憶をたどって
スケッチを重ねる
そのときに感じた気持ちや気配を
ふわっと紙にのせるような感覚で

よい布に、生まれ変わりますように

念願のテキスタイルができた
あのとき描いたスケッチが
くったりとしたリネンに
刺繍されている
たくさんの 人の手をわたって
この布も旅をしている